魚の死後硬直とは? その1
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今回は科学的な根拠も踏まえながら魚の死後の変化を確認していきます。
死後硬直はなぜ起こる?
まず、ほ乳類や鳥、魚の体内には、エネルギーをつかさどるATP( アデノシン3リン酸) という物質があります。
※このATPはイノシン酸などの旨味成分へと姿を変える物質です。
生物が死ぬと乳酸などの疲労物質が増える、するとATPが消失し、筋肉を伸縮させるタンパク質であるアクチンとミオシンが結合して筋肉は収縮したままになります。
また、筋肉細胞内でカルシウムイオンを閉じ込めている筋小胞体の膜は、やはり死ぬことで破れ、筋肉細胞内にカルシウムイオンを放出する。
これも死後硬直の大きな原因となっている。
死後硬直の進行速度は魚種、水温、栄養状態によって異なるがマダイやヒラメ、ブリなどは即締めしたあと、10-20度で貯蔵したほうが筋小飽体の膜が破れるのは遅いことが証明されている。
逆に、0度近い低温では筋小胞体の膜が早く破れる。
つまり魚を冷やせば冷やすほど死後硬直は早く始まることになる。
つまり
①生→②死→③死後硬直→④解硬→⑤腐敗
という流れになります。
各状態の詳しい話はまた次回にでも。
洗いは強制的な死後硬直
魚を締めて潮氷に入れると死後硬直が始まります。
釣り人の皆さんならばご経験あるでしょう。小魚はそのまま氷の入ったクーラーにぽい。帰ると凍ってはないけどカチカチに固まります。
これを料理に応用したのが「洗い」です。
薄くそぎ切りにした身を氷水に浸せば、チリチリとみがはぜ、コリッとした歯触りが楽しめる。
これぞ死後硬直以外の何者でもないのです。
したがって洗いにする魚は必ず活きた状態でなければならない(上記でいうと①or②の状態)。すでに死後硬直した魚では洗いにできない。
洗いという料理は冷たくてあっさりしているから、まさに夏にはもってこいの料理です。
もっとも、この料理は本来は魚が持っている臭みを抜く事を目的としていた。洗いの代表といえばスズキ、コイだが、どちらも泥臭さがある。
ボラなんかも洗いにすれば美味しいらしいです。
日本人は泥臭い魚を食べる為にも色々な調理法に挑み、後世に残してくれているのですね。
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2014年2月7日更新